先日私の妹が、「イタリアにはじめて来た時、一番印象に残ったのがさぁ…」
と語りはじめたので、てっきり「コロッセオ」とか「サンピエトロ寺院」
とか「バチカン美術館」といったおなじみの名所が出てくると思いきや、
「スペイン広場で遭遇した花嫁なんだよね」と、意外な発言を。
で、妹は続けます。
「スペイン階段で花婿とのツーショット写真を撮影中だったその花嫁がね、
休憩の合間にタバコを1本取り出したわけ。そしたら、花婿がささっと火を
つけて、おもむろに自分も一服はじめたの。仲睦まじげに談笑しながら
一服する新郎新婦っていうのも新鮮だったけど、タバコを吸い終わった
花嫁がぽいっと捨てたタバコをウエディングドレスの裾めくって踏み消す姿。
あれがとても印象的だったんだよね。だって日本じゃありえないもんね〜」と、
横にいるダンナに同意を求める妹。
「ふむ、ふむ」と感心しながら耳を傾ける私。
長年イタリアに住んでいると、こういう日常の驚き(当時は私にもあった!)
がだんだん薄らいでいくんです。で、当たり前の光景になっていくわけです。
それが当たり前になるっているのも、なかなか怖いものがありますが…。
そうやって考えてみると、イタリアって、
名所旧跡、食、ショッピングといった三大旅行重要ポイントを
押さえているだけでなく、イタリア人の行動および言動そのものも
観光ポイントのひとつなんですね〜。
アッティコ・イタリア
村本幸枝