イタリアのロケ現場

メルマガ『イタリアのロケ現場』

先週まで2週間近くに渡り、
撮影でイタリア各地をまわっておりました。

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20年以上もこの仕事をしている私にとっては
当たり前のことでも、はじめて、しかも撮影でいきなり
ディープにイタリア人と関わる日本人にとってみたら
きっと「驚き」の連続なんだとあらためて実感。

言葉もわからないから相手が何を言っているのかも不明。
唯一のコミュニケーションツールは私(コーディネーター)のみ。
限られた時間の中でスケジュールをこなさねば、という
プレッシャーもあるし。2ケ国語を使って撮影するので
単純に考えれば日本の撮影に比べてかかる時間は2倍。

ところが、そういう単純計算が成り立たないのがイタリア。

日本からいらしたリポーターの小塚舞子さん、
やり取りをする相手のイタリア人、その会話を通訳する私。
各々にマイクがつけられ、さぁ、ロケ先のイタリア人との
コミュニケーションが開始です!

はじめる前に出演して頂く各ロケ地のイタリア人に
まず私が注意事項を伝えます。
(20名には同じことを繰り返したかな…苦笑)

「私が日本語をイタリア語に、イタリア語を日本語に
訳すので、短く明確に返して下さいね」
(この短く明確にがイタリア人はもっとも苦手)

「まずはリポーターの方の質問からお二人の会話が
はじまるので、質問に対して答えて下さいね」
(8割方のイタリア人は自分から話しはじめる)

「編集上、私とあなたの声がかぶると面倒なので、
あなたの話しが完全に終わってから日本語に訳しますから」
(沈黙が苦手なイタリア人。通訳しようとひと息吸い込み、
口を開こうと思った矢先にまた話し出す)

「通訳するのは私ですが、私はいないものと考え、
私ではなく常にリポーターの方に話しかけて下さいね」
(小塚さんを前にしながらカメラの横にいる私に語る)

で、「はい、やり直し!」ということに…(苦笑)。
その間も確実に時間は過ぎ去り、次のアポ時間が迫りくる(汗)。

とは言っても相手のイタリア人はお店やホテルの方々。
素人さんなので、仕方がない。
ギャラがあるわけでもないから強いことは言えない。
出演して頂けるだけで有り難いと思わねば。

イタリア初デビューのディレクター曰く、
「日本の素人さんはカメラの前だと緊張しちゃって
無口になる方が多いんですけど、イタリアの方は話し
が止まらなくなるんですね…」と、半驚き、半呆れ顔。

そう、イタリア人は緊張するほどによく喋る。
緊張しているからとにかく何か話さなきゃと焦る。
よって、表現は多少変わるものの結局は同じ内容を繰り返す。
それを要約して伝えると「もっと長く喋ってましたよね…」と
手抜き通訳と疑われる。「長々、話してましたけど
同じことの繰り返しですから要約しました」と説明する私。

ときには、最初、出演者1名と動いていたはずなのに、
友達や親戚や「あんた誰?」という人たちが途中で合流。
ロケ現場に意味なく人が増えてしまい、
「あ〜ん、カメラに映っちゃう。どいてどいて」と
人払いが必要になることも(苦笑)。

そして、そうこうしているうちにも、
限られた撮影時間は刻一刻と流れていくのであります。

恐るべし、イタリアロケ現場のドタバタ劇
↑↑↑↑↑
こっちの方が番組として面白かったりして?(笑)

アッティコ・ローマ
村本幸枝