日本ではイタリアは危ない、とくにローマは危険、
というイメージがありますが、
警察当局の発表によると、2007年は2006年に比べ、
犯罪件数が減ったそうです。
2006年に被害届けがあった犯罪は2,805,171件。
2007年の上半期に限って言えば、前年の上半期に比べ、
やや犯罪件数が増加したものの、
昨年の下半期の犯罪件数がぐっと減ったことで、
年間で統計を出すと、
105,822件も犯罪が減少だったという
喜ばしい結果が出ているとのことです。
イタリアで最も被害が多い犯罪は銀行強盗ですが、
銀行強盗の被害がとくに目を見張る勢いで減少しているようです。
都市で見ると、2007年の上半期から下半期にかけて犯罪件数が
目立って減少したのはローマとローマ県の各都市。
減少率が15%とイタリアでもっとも犯罪が減った県に輝きました。
逆にもっとも犯罪が多かったのはミラノとミラノ県の各都市。
ミラノ市内は犯罪件数がやや減ったものの、
県内の都市で前年に比べ3.6%増加したことで
ワースト都市1位になってしまいました。
治安が悪いことで知られるナポリも大健闘し、
2006年にあった被害届け146,418件が、2007年は143,791件と、
2,627件減ったようです。
統計で見ると、中部・南よりも、
今まで治安がよいとされてきた北イタリアでの
犯罪件数が増えている傾向にあるよう。
ただし、一般人にはあまり関係のない銀行強盗は減っても、
私たちの生活自体を脅かす、盗難、空き巣、強盗などの犯罪は
むしろ増加傾向にあるのが気になるところです。
加えて、統計ではよい結果が出ていても、
イタリア国民がそれを実感していないことも問題。
EU加盟国が増え、物だけでなく、人の行き来も簡単になったことで、
外国からの犯罪者の入国が増えているという現状を抱えるイタリア。
とくに、盗難や強盗などは外国人が関わっているケースが多く、
一部では移民に対する規制をもっと厳しくすべき、
という声が上がっています。
今回の総選挙で中道左派が破れ、
再び、中道右派が政権を握ったのも、
そういったイタリア国民の不安が反映された結果だと言えそうです。
アッティコ・ローマ
村本幸枝