お国柄は日常のなかに見え隠れするもの。
そう実感したのが、昨年末、出張先のロンドンで
タクシーを利用した際のドライバーのリアクション
でした。
ローマからはじまり、トリノ、ミラノ、パレルモ。
ローマへいったん戻り、そこからリスボンへ飛び、
そして最終地はロンドン。1週間弱の出張で、
各地の滞在時間は最短半日、最長で1日半。
時間のロスを避けるため、移動はタクシーを
利用しました。
1年ちょっと暮らしたロンドンを再訪するのは
およそ30年ぶり。当時の私は学生だったし、
イギリスは大不況の真っ只中だったので、
街のシンボルのひとつであるロンドンタクシー
(通称ブラックキャブ)を使う機会はほとんどなく、
だから気づかなかったのか、昔はそうでは
なかったのか、定かではないのですが…。
目的地に到着し、タクシー代を払おうとして
端数分ぴったりの小銭と大きめのお札を出したら
ドライバーからお怒り気味に小銭を戻されびっくり。
「何だよ、この小銭は!」ってな感じです。
小銭がたくさんあったから消化したかったのですが。
もしかしたら端数はチップとして残すべきで
お札だけで支払えばよかったのかなと思い、
同乗していたロンドン在住の日本人の友人に
尋ねたところ、チップはあくまでもお礼なので、
必須ではないとのこと。
で、お怒りの理由はと言えば、彼女曰く、
「ロンドンタクシーのドライバーはプライドが高くて
小銭を出されると見下されたように感じるのよ」。
ちなみに端数を含むタクシーの料金をぴったり
支払うのは問題ないようです。
あくまでも「大きめのお札+端数分の小銭」
がNGらしいのです。
端数を小銭で払う=相手を見下している
いくらロンドンのブラックキャブのドライバーがプロで、
ライセンスを取るのが非常に難しいと知っていても
私の中ではこの公式はまったく成り立たず不思議。
ちなみにイタリアなら端数分の小銭を出すと
喜ばれるし、逆に小銭をつくりたくてお札で
支払うとすると小銭はないかとせがまれます。
さらにローマの場合、小銭がないと端数が勝手に
切り上げられ、チップとして持って行かれることも。
所変わればタクシードライバーのリアクションも
こんなに変わるんですね。
アッティコ・ローマ
村本幸枝