コーディネートの仕事をしていて役得なのは、
普通なら行けない場所にアクセスしたり、
会えない人にお目にかかる機会に恵まれること、
と、メルマガで幾度となく書きました。
しかも、お金を頂きながらです…(感謝)。
4月から7月にかけて北はヴァッレ・ダオスタ州から
南はシチリア最南端ランペドゥーサ島までと、
イタリア中を駆け巡る毎日でした。
その間、二度ほどモンブランの上空をセスナで飛び、
ランペドゥーサ自然保護区をレンジャーと共に四駆で
タフに走りまわり、閉館日の無人の古代ローマ遺跡を
訪れたり等々。
そんななか、一生でこれが最初で最後だろうなぁ、
と確信したのは、ヴェネチア最高級のホテル、
『ホテル・ダニエリ』のロイヤルスイートの利用。
ゴールドの光を放つゴージャスな内装。
重厚感溢れる調度品と芸術作品の数々。
天井を覆う18世紀のフレスコ画。
大理石で埋め尽くされたバスルーム。
リビングの窓から見えるヴェネチアのラグーン。
銀食器に盛られたウエルカムフルーツとキンキンに冷えたシャンパン。
バルコニーから階下を見下ろせば、
ペットボトルの水を飲み、汗をふきふき、
下々の者たちが猛暑のなかを歩いているではないか。
(ほんと~うにそんな気分になるんです…苦笑)。
でも、振り返ってみると…。
大荷物を積んだ水上タクシーでホテルの専用
ボート乗り場に到着するはずが、船着場が
渋滞のため、ラグーンで下船させられる羽目に。
荷物が運べないからと、ダニエリに駆込み、
ポーターを頼んだところ、
「ホテルの外は管轄外です」との返答。
「えっー!だって私たち、ドージェ・ダンドロ
ロイヤル・スイートの客なのよ!!!」と、
無理矢理ポーターとカートを差し向ける私。
チェックインの際は他の宿泊客と同様に並び、
専用コンシェルジュも付けてくれなかったな。
電気が流れていないコンセントもあった。
点かないライトがあったり、i-podを繋いでも
スピーカーから音が流れないので係を呼んだら、
「この部屋に入るのはじめてでどこに何が
あるかよくわからないんです」だって。
前日と翌日に予約が入っていなかったから、
アーリーチェックイン&レイトチェックアウトを
無料にしてくれたし、ルームサービスで頼んだ
18杯のアメリカンコーヒー、締めて180ユーロ
も少々恩着せがましくではあるもののタダにしてくれた。
にしても。
1泊12,200ユーロ(約175万円)も払っていれば
当然っちゃあ、当然って気がしないでもない。
まぁ、懐が許してくれないっていうのもありますが、
例え懐が許したとしても個人的にはなしかな。
あっ、でも、ご招待なら喜んで!(笑)
アッティコ・ローマ
村本幸枝