原発に頼ることの意味

イタリアでのトップニュースはすでに日本での地震に
よる被害から、緊迫状態が続くリビアの影響で、連日、
シチリアへ押し寄せる (そのほとんどはチュニジア人)
避難民たちの報道へと移り変わっています。

シチリアのランペドゥーサ島では島民の数より避難民の
数が多くなり、現在、プーリア州など、他州にその数を
分散させていますが、本国へ戻されるのを恐れる多くの
人々が仮説宿泊所から脱走。

日本のTV撮影で移動中だった私たちの乗った電車でも、
捕まった数名の避難民が保護され、護送されていました。

そんななか、流れてきたのが、
東京で行われた『原発反対デモ』のニュースです。

日本はアメリカ、フランスに次ぐ、世界第三番目の
原発国です。数で言えば第三位ですが、国土面積に
対する密度で考えれば、実はフランスを抜き第二位。

イタリアは国民投票により原発を廃止しましたが、
ベルルスコーニ政権は、再び、原発をつくろうと、
呼びかけています。

もちろん、大半のイタリア国民は反対しています。

そのいっぽうで、イタリアはガスや電気などの光熱費が
非常に高額で、国民の生活を圧迫しているのも事実です。

日本では、放射能汚染に対するイタリアを含む
海外メディアの過剰報道について、
憤りの声が上がっていると、耳にしました。

何が正しく、何が誤りなのか、
どの情報を拾い、どれを捨てるべきなのか、
これだけ情報量が多いと、それはもう、個人の考えや
判断に委ねるしかないのだと思います。

過剰に反応する人たちを制することもできないし、
逆に楽観視する人々を正すこともできない、と思います。

地震や津波のように、目にも見えず、耳でも聞こえず、
肌でも感じることができない『放射能』が、長い年月を
経て、私たちにどのような影響を及ぼすのかは、
そのときになってみないとわからないのですから…。

ただひとつ。
原発があることのメリットは何なのか?
それに対する私たちの払うべき代償とはどんなものなのか?

『原発に頼ること』はいったい何を意味するのか?
真剣に考えるべきときが来ているのかもしれません。

下記のURLは、
1997年、被爆による癌で亡くなった平井憲夫さんという、
数々の原発の配管、現場監督をされていた方の遺言とも言える
告白が記されています。

『原発の実態がどんなものなのか』、
実際に現場で働いた方の視点で詳しく書かれています。

生前、多くの部下の方々を失ったと書かれています。
ご本人が癌を宣告されたとき『死ぬのがとても怖かった』と
記されていますが、亡くなる前に自分ができることを、
と考えたとき、この手記を残すことを決めた、そうです。

平井憲夫さん
1997年1月逝去。
1級プラント配管技能士、原発事故調査国民会議顧問、
原発被爆労働者センター代表、北陸電力(現・志賀)原発差し止め裁判
原告特別補佐人、東北電力女川原発差し止め裁判原告特別補佐人、
福島第2原発3号機運転差し止め訴訟原告証人。
『原発被爆労災者救済センター』は後継者がなく、その後、閉鎖。

●以下、嶋田曜子さんから頂いたメールです。
既にご存知の方、まさかと思う方、受け取り方は様々だと思いますが
私は日本の将来、特に日本の子供達の将来にとってきわめて重要と
判断し、皆様にお送りする事を決めました。是非、ご一読下さい。

そして、私、村本幸枝も嶋田さんと同じ考えから、アッティコの
メルマガで、頂いたメールを転送させて頂くことにしました。

平井憲夫さんの手記

原発に頼ることの意味、メルマガ後の反響

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村本幸枝