ある侯爵夫人の生活

ソレントにある自宅にはプールにスポーツジム。
ゲスト用宿泊施設と家庭菜園があり、家政婦
さんとバトラー(兼ドライバー&コック)が常駐。
カプリ島を目の前に望む広々としたテラス。

最近、知り合いになった侯爵夫人は過去に
3回ほど結婚し、いずれの夫にも先立たれ、
莫大な遺産を相続した未亡人です。

毎朝90分ほど自宅のジムで汗を流し、
60歳手前にしてナイスバディ。
現在の恋のお相手は二人。
いずれも貴族 (貴族好きのよう…苦笑)。

船を所有し、若いイケメン・スキッパー君と
ホステス(スキッパーのGF)がいて、去年の
夏は友人を連れて船でシチリアの島々巡り。
釣り好き、海好きの彼女は暇さえあれば、
スキッパー君とあちらこちらへ繰り出すそう。

ソレントに用事があった私は1泊で彼女の家
にお世話になりました。夕食のテーブルには
銀食器が並び、チリンチリ~ンと彼女がベル
を鳴らすと、バトラーがやってくる。
まさにひと昔前の貴族映画さながら(苦笑)。

ずいぶん違う私の日常と比べてため息。
(いいな~、いいな~、こんな生活)
でも、アペ、ディナー、食後とお酒が入るうち、
そうでもない実情が見えてきて。。。

毎月かかる様々な維持費だけで2万ユーロ
(約300万円)。マンションは多々あるけど、
不況で不動産は売れないし、借り手もなし。
ベルルスコーニ時代に廃止された固定資産税
が数年前に復活し、その支払いに四苦八苦。
キャッシュがなくてとても苦労しているそう。

決まりかけていた不動産の売却は頓挫し、
しかも売買を任せていた信頼おける友人
には裏切られ、裁判に持ち込まれる始末。

生活レベルは落とせないけど、現金は底を
つきそう。そんな綱渡り状態が続いていて
心労が多いと、酔いながら語る彼女を見て
いて、外見の華やかさに惑わされることの
危うさをあらためて実感。

彼女が気前がいいこともあって周辺には
コバンザメたちが多々いるし、外食すれば
彼女が払うのが当然でしょ、と言わんばかり
に支払う素振りすらしない人ばかり。

当然のことながら、お金持ちにはお金が
あるなりの苦労や悩みがあるんですね~。
でも、そういう彼女も、現在、アプローチ
されている二人の男性(内、一人は本命)
から経済的な援助を引き出そうと計画中。

60歳手前にしてこの逞しさ。
農耕民族の日本人は、やっぱり狩猟民族
にパワーで負けてますよね…(苦笑)。

アッティコ・ローマ
村本幸枝