イタリアのクリスマスに欠かせないお飾りと言えば、
ツリーではなく、キリスト生誕の場面を再現したプレゼーピオです。
そして、プレゼーピオと言えば、やはりナポリ。
プレゼーピオ職人の工房が並ぶナポリの
サン・グレゴリオ・アルメーノ通り(Via San Gregorio Armeno)では、
毎年、12月になるとプレゼーピオを求め、ナポリの人々はもちろん、
イタリア中、世界中から人々が訪れます。
キリスト生誕のシーンを再現したものなので、
プレゼーピオには、羊飼いだったり、洗濯をする主婦だったり、
散歩をする老人だったり、犬や猫や羊などの動物だったりと、
当時の日常に居合わせた可能性のあるあらゆる人々を
登場させることができます。
高さ3cm代の小さなサイズのものから、
シルクを使って仕立てた素晴らしい衣装を身につけた
1体500ユーロもする高さ30cmほどのプレゼーピオまで、
職人たちの手による作品はピンからキリまで様々。
毎年、1体ずつ高価なプレゼーピオを購入して、
コレクションを徐々に増やしているイタリア人も少なくありません。
プレゼーピオは受胎告知の日である12/8に物置から出されますが、
その日はペーパーやコルクで作られたベースとなる舞台のみ、
いわゆるキリストが生まれる馬小屋と
その周辺の街や家並みが設置されます。
その時点ではまだ登場人物は設定しません。
今年は小川を入れようか、巻き釜を置こうか、などと、
家族で相談してから、サン・グレゴリオ・アルメーノ通りに出向き、
あらたなる登場人物や舞台を購入し、少しずつ追加していくのです。
そのように家族で相談し、果物のカゴや、バケツや、動物や、
人を追加した上で、全体のバランスを見ながら、
当時の街の様子を再現していくのが、
プレゼーピオの楽しさでもあり、醍醐味でもあります。
街の様子は12/8から何日かけてつくりこんでも、
登場人物や小物をいくら増やしててもかまいませんが、
12/24までには舞台は完成されていなければなりません。
そして、12/25 24時を迎えるとともに中央に
赤ん坊のキリストが置かれます。
ちなみに、プレゼーピオはエピファーナと呼ばれる
1/6の祭日まで飾られます。
サン・グレゴリオ・アルメーノ通りのプレゼーピオ工房では、
皮肉屋のナポリ人らしく、その年をにぎわせたVIPや政治家などの
プレゼーピオもつくっており、毎年、話題になっていますが、
そんな毎年の話題の人をプレゼーピオに加えていくのも
面白いかもしれません。
アッティコ 村本幸枝