イタリアの首都はローマ。
誰もが知ることですが、
なぜかこれまで飛行機での移動はミラノの方が便利でした。
日本への直行便もしかりです。
ずっと以前はアリタリアに乗っても
ローマ直行便はなくすべてミラノ経由でした。
ローマ直行便が飛ぶようになったのはつい数年前のこと。
私が10年以上も前にシチリアのランペドゥーサ島へバカンスへ
行こうと思い、アリタリアに問い合わせたら、
首都ローマからの直行便はなく、わざわざ北のミラノまで行き、
そこから乗り換えて再び南へ向かわねばならないという、
とても不便なものでした。
ところが、今年3月末からミラノの国際空港マルペンサへ飛ぶ便は
ぐっと少なくなり、代わりにローマへ飛ぶ便が増えたのです。
その理由は、ヨーロッパ内を飛ぶ格安航空券が急増して、
それらの航空会社がこれまで飛行機が発着しなかった
地方の空港とヨーロッパの都市を結ぶようになり、
わざわざ大都市の空港を経由しなくても済むようになったからです。
最寄りの空港から簡単にヨーロッパ各地へ移動できるとあって、
マルペンサの需要が減ったわけです。しかも、チケットは安い!
さらに、国際空港のマルペンサと国内空港のリナーテに距離があること、
そして、ふたつの空港のアクセスが非常に悪いことも、
ミラノを拠点に移動する際の大きなネックとなっています。
今ではほとんど閉鎖に近い状態だった小さな空港や、
軍の飛行機がわずかに発着するだけの地方都市の空港まで
掘り起こされはじめています。
空港がある地方都市もこれは街起こしもなるのではと、
ひそかなる期待を寄せており、空港税を破格の値段にしたり、
空港使用の交渉に対してスムースに対処したり、
受け入れる側が柔軟な態度を示し、ウエルカム雰囲気が漂っているため、
話が早いというのもメリットになっている模様。
格安航空会社の中にはきゃんぺーンと謳って、
席数限定で航空券を破格の値段で出すところもあります。
燃料費がこれほどまでに上がる前は
ヨーロッパの都市/イタリアの都市往復の航空券が1ユーロから10ユーロ、
なんて言うものまでありました。
2月、私がローマ/パリ間の往復で利用したVueling(ブエリング)航空(スペインの会社)は、
片道30ユーロ(しかし、燃料費が40ユーロほどかかりました…)程度。
ただし、ネットでチケットを購入する際、
スーツケース20Kgまでひとつにつき5ユーロ、
Vuelingのマイレージがついていないクレジットカードで支払う場合は
手数料5ユーロと、いろいろなエキストラ料金が発生したりします。
また、機内の中の飲み物、食べ物はすべて有料。新聞の配布はなし。
でも、飛行機自体は清潔だし、かなり快適でした。
http://ja.wikipedia.org/wiki/ブエリング航空
こういった欧州の格安航空会社はさまざまなサービスを排除することで、
チケット自体の価格を押さえる努力をしています。
以前、テレビのニュースで見たある航空会社は、
ほとんど使われていなかった地方都市の空港と契約を結び、
欧州他都市への便を飛ばすことに成功。
空港でのコンピューターシステムは導入せず、
搭乗手続きは全て紙面にあるリストを職員がチェックし、
タグを付けられた荷物は乗客が空港の荷物配送窓口まで運び、
搭乗手続きをした職員たちの一部が客室乗務員として飛行機にも乗り込む、
といった徹底振りで、価格を押さえていました。
乗客はと言えば、「荷物くらい自分で運んで安くなるならその方がいい」と、
かなり好評でした。
破綻の危機を迎えているアリタリア航空のように、
今後、大規模な航空会社は厳し商戦を迫られることになりそうですが、
その内、大都市の空港経営も問われる状況になるかもしれません…。
アッティコ・ローマ
村本幸枝