ドキュメンタリー撮影で来日していたミラノの
制作会社クルーがイタリアへ戻ったのは1週間前のこと。
来日前はかなりタイトなスケジュールになりそうだと
心配していたものの、我々アッティコの綿密なリサーチと
準備の甲斐あって (イタリア人の段取りと日本人のそれを
比べられてはたまりません…笑) !
松本滞在中、1日フリーの時間を取ることに成功。
せっかくだからと、地元の人に聞いて乗鞍高原の
日帰り温泉に行くことに。
メンバーは監督(伊人男)、カメラマン(伊人男)、
助監(伊人女)と、私を含む日本人スタッフ3名の計6名。
前日の夕食の際、ほろ酔い気分だった私は
「日本の温泉はヌードよ、ヌードで入るの。男も女も仲良くいっしょにね!
これで私たちも裸の付合い、 さらに親交が深まるね〜!」などと、
適当なことを言ったのをすっかり忘れておりました。
ちなみにイタリアにも温泉は数多くありますが、
プール形式になっており、男女ともに水着で入るのが一般的です。
さて、雪道を抜け、途中、野生の猿に遭遇して感激しつつ、
やっと温泉に到着。
料金を払って、貴重品をロッカーに預けたところで、
私が「はい、男はあっちね。で、女はこっち」と、
助監のマリアンナの手を引いて「女湯」へ連れて行こうとしたところ、
ウキウキ顔で揉み手をしていた監督のジョバンニが、
「へっ? 男女いっしょなんじゃ…」と、へなへな崩れ落ち、
そして、マリアンナは
「な〜んだ。混浴だって聞いたから夜中すね毛処理したのにー!
それもカミソリで!ほら」と言いながら、
見たくもないジョリジョリになったすねを一同に披露。
「混浴だって言ったんだっけ?」と私。
イタリア人クルーの初体験「混浴 in Giappone」の夢は、
安易な私のひと言によって無惨に崩れ落ちたのでした。
アッティコ・ローマ
村本幸枝