先日、イタリアの環境団体とイタリア環境調査団体が
103の県庁所在地を対象に行った都市環境調査結果を発表した。
1994年から毎年行われているこの調査は、
町の大気汚染、緑被、ゴミ処理、水質、車などによる公害、
電力消費量などの項目に分けて行われている。
この調査結果によってイタリアのどの町が環境汚染が少なく、
快適な暮らしができるかが明らかになるというわけだ。
今年の調査結果で生活するのにいい環境の町NO.1に選ばれたのは
北イタリアのヴェネト州の町、ベッルーノ市。
続いてロンバルディア州のベルガモ、マントヴァ、
トスカーナ州のリボルノ、ウンブリア州のペルージャ、
再びトスカーナ州シエナと続く。いずれも北と中部の州の町だった。
ワースト1位になったのはシチリア州のラグーサ市。
大都市にしぼって見てみると、11位にヴェネチア、
13位にジェノヴァ、23位にボローニャ、55位にローマ、
58位にミラノ、74位にトリノ。
なんとナポリは最下位に近い91位だった。
都市平均としては昨年よりも悪化している。
対象となった町の半分以上(55%)が法律で決められている
空気中の二酸化窒素の規定量を超えており、
健康に有害とされる粉塵の量を超えた町は40都市にも及ぶ。
イタリアの各都市の交通量はヨーロッパの中でも多く、
運転免許証保持者数と同じ数の車が存在するといわれる。
一般家庭での電力消費量も増え、
一人当たりのゴミ排出量は618kgと増加の一途を辿っている。
フィレンツェは緑被面積について問題はなかったが、
スモッグ問題とゴミ処理能力に欠ける点がどうやら足を引っ張ったようだ。
街を歩くだけで空気汚染を感じるのに全国平均値というから驚く。
他の町はどれほど空気が悪いのか・・・考えるだけでも恐ろしい。
数年前からフィレンツェ旧市街地への車両侵入の規制が開始された。
それが功を奏してか、フィレンツェは2005年度の71位から今年は17位と
順位を上げた。
いくら規制をしても旧市街地から数百メートルと離れていない道路を
大量の車が走っていたらあまり意味がないのではないかと思うのだが・・・。
ゴミ問題はナポリほどの危機は感じないが、
イタリアに来て一番のカルチャーショックは
ゴミの分別が全くといっていいほどされていないことだった。
今でこそ、一般のゴミとダンボール類、
ビン・ガラスなどを捨てる収集箱が置かれるようになったが、
それでも平気でコンピュータや家具などをゴミ置き場に置き去る人が多いし、
ビン・ガラス用のゴミ捨て場は普通ゴミの数ほど町に設置されていないから、
結局、みんなかまわずそこらへんにあるゴミ箱に捨ててしまうのだ。
現在、フィレンツェでは市と郊外の町を結ぶトラム(路面電車)を建設中だ。
排気ガスや車の渋滞を減らすのが目的だが、
市民たちの大きな期待が寄せられている。
フィレンツェ在住 中林紀子