5週間の帰国を終え、4/20にローマへ戻りました。
その間、お花見を兼ね、国立西洋美術館で開催
されている(6/12まで)「カラヴァッジョ展」へ
行ってきました。
カラヴァッジョ展開催に向けて、昨年11月、
芸術新潮3月号(新潮社)のローマでの取材を
コーディネートしたことは以前のメルマガでも
お伝えしました。
その頃はちょうど各美術館の館長が変わる時期で
撮影許可関連で様々な困難に出くわした記憶に
残る取材でした。
でも、苦労の甲斐あってか、80ページ近くに
およぶ読み応えたっぷりのカラヴァッジョ特集は
おかげさまで完売し、バックナンバーも売り切れ
のようです。
芸術新潮3月号
血の気が多く、挙げ句の果てには些細なケンカが
もとで殺人まで犯し、最後はローマを追われた
カラヴァッジョは、39歳でその生涯を終えました。
性格的には破綻していたのかもしれませんが、
芸術家としてカラヴァッジョは非常に魅力的で
現代でも多くのファンがいます。
彼はそれまでになかった斬新な光の使い方と
事実を美化しない徹底した現実的な作品で
以降の西洋美術史に大きな影響を与えました。
美しく描かれた背景や絵全体に降り注ぐ光が
主流だった当時の作品から、必要ないものを
排除し、暗闇の中にスポットライトを当てた
ようなカラヴァッジョの作品は、当時、本当に
斬新だったのだと思います。
キャンバスを真っ黒に塗りつぶしてから
光の当たる部分を描いていく。
多くのカラヴァッジョ展の監修を務められた
ロゼッラ・ヴァドレ氏のインタビューでそんな
お話しを伺って思い出したのが、以前、
仕事でご一緒した映画プロデューサーの話。
全体に光を当てるのがテレビの照明なら、
映画は影の中に光をつくっていくのだそう。
だとすると、カラヴァッジョの光の技法は
映画的、じゃなくて、映画がカラヴァッジョ
的な技法ということになりますね。
「カラヴァッジョ展」では、彼に影響を受けた
カラヴァッジョ派の画家たちの作品も数多く
展示されています。開催は6/12まで。
必見です!
「カラヴァッジョ展」
期間:3月1日~6月12日
会場:国立西洋美術館
詳細はこちらから
アッティコ・ローマ
村本幸枝