フィレンツェにあらたなるスポット

フィレンツェでもっとも美しいパラッツォ(建造物)のひとつだと
言われているセッリストーリ宮殿が民間企業に売却され、
ラグジュアリーホテルとして生まれ変わることになったようです。

かつては、
スペイン王ジョアッキーノ・ムラット、
ナポレオンの兄、ジュゼッペ・ボナパルテ、
イタリアの国民的作家ガブリエレ・ダンヌンツィオ、
ワグナーの妻コジマなどが滞在したことでも知られていた
セッリストーリ宮殿は1500年代に建てられ、
その後、1800年代に修復されています。
しかしながら、これまで24年間ほとんど無管理の状態で放置されていて、
その間、文化庁の管轄に入り、美術品の倉庫として使用されていたようです。

イタリアには文化遺産があまりに多すぎて、
誰の手も入らず、朽ち果てていく建造物がけっこうあるのです…。
購入するのにはさほどお金がかからなくても、
修復を施し、維持していくのには莫大な費用がかかるからです。

さて、アルノ川を見下ろす美しい宮殿は
今年のはじめから改修工事に入りました。
ホテルが完成するのは2009年末の予定。
文化庁の要請どおり、4500平米の宮殿内部はオリジナルの雰囲気を
損なわないように専門の修復師や技術者によってリニューアルが施され、
2500平米におよぶ庭園も、すでに息絶えた木や植物以外はそのまま残し、
オリジナルを忠実に再現することになっているとのこと。

宿泊施設となるのは50から500平米もの広さを誇る
23部屋のスイートルームのみ。
700平米ある地下スペースはスポーツジムとスパになり、
宿泊客専用の施設となる予定。
唯一、レストランだけは宿泊客以外の利用も可能なようです。

宮殿を買い取ったのはフィレンツェ近くのプラート出身で、
トスカーナ地方にいくつかのホテルを経営する実業家
レオナルド・グアルティエーリ氏。

セッリストーリ宮殿には、
当時の館主だったウンベルト・セッリストーリが集めた絵画や家具、
美術品のコレクションなどが数多く埋もれていたようです。
かなりのコレクションを自分が持つ各ホテルに移動させ、
宮殿内にも残したようですが、それでもその処理に追いつかず。
結局は、300点ほどの美術品を昨年の11月にサザビーに出展。
その総額は300万ユーロに及んだとか…。

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