11月6日にイタリアの、
いわゆるボジョレーヌーヴォにあたるノヴェッロが解禁された。
ワイン通にはあまり人気はないが、
解禁後はノヴェッロを製造するつくり手たちがセラーを開放して
ノヴェッロ祭りを開催したり、
ワイン協会が各州の代表的な生産者を招いて
大々的な試飲会が各地で開催されるなど、
イタリアではそれなりの盛り上がりを見せる。
この時期になるとレストランでもノヴェッロが登場するが、
ノヴェッロはせいぜい3月までに飲みきりたい。
国立ノヴェッロワイン協会のデータによれば、
昨年2006年にボトリングされたノヴェッロは約1562万本。
2005年に比べてワイン全体の生産量が2.5%落ちたことを反映し、
ノヴェッロの生産率も1.3%減となった。
さらに遡ると、1980年代に123万ヘクタールあったブドウ畑が、
2006年には約80万ヘクタール(―35.6%)に減っているのだそうだ。
というわけで、ノヴェッロの生産量もノヴェッロをつくる生産者も
下記のように少しずつではあるが、毎年減少の道を辿っている。
2004年のノヴェッロ生産量:16,884,508本
2005年のノヴェッロ生産量:15,817,472本
2006年のノヴェッロ生産量:15,613,750本
ノヴェッロの生産者は圧倒的に北イタリアに多い。
北イタリア:202社 (全体の61%)、9,347,450本(全体の59.9%)
中部イタリア:86社(全体の26%)、3,670,000本(全体の23.6%)
南イタリアと島:43社(全体の13%)、2,426,300本(全体の15.5%)
州で見ていくと生産量で他を圧倒的に上回るのはなんといってもヴェネト州。
全体の約35%にあたる量のノヴェッロがヴェネト州のつくり手によって
生産されている。次を追うのがトスカーナ州(16.3%)、トレンティーノ州(13.1%)、
プーリア州(6.8%)、フリウリ・ヴェネチア・ジュリア州(5.8%)で、
これら5つの州だけで全体の71.6%をカバーしてしまう。
2006年はピエモンテ州のノヴェッロ生産量が17.2%減となり、
ノヴェッロから手を引く生産者が多いことを物語っている。
ノヴェッロを好んで購入するのは中堅的な一般家庭に多いと言われている。
食卓に必ずワインは置いておきたいが、それほど銘柄にはこだわらない。
赤ワインを好むが、どっしりと重たいワインよりも気軽に飲める
ノヴェッロの方が好きだ、という人に多い。
平均価格が4.7ユーロ(2006年)という手頃な値段も
人気の理由のひとつであることは間違いない。
アングイラーラ・サバツィア在住
村本幸枝