我が身には関係のない独身の私でさえ、
夫婦同姓制度は不平等だと思うし、
面倒だろうなぁ~と容易に想像できるのだから、
それを強いられる既婚の女性たちは本当に
気の毒だと思います。
女性の社会進出が皆無に等しかった頃や、
女はお嫁に行く以外に生きる術がなかった時代や、
女性が夫の家に入る付属的存在とされていた
大昔から時は流れ、現在は、女性の意識も、
生活も活躍ぶりも社会的立場も大きく変わりました。
目まぐるしく変化する世の中に付いてこれず、
錆びついたままでいるのは、現代にマッチしない
制度そのものと、それを変える必要すら感じて
いない一部(一部じゃないか…)の頭の堅い人々。
もちろん、結婚の証として相手の姓に変えたい、
という女性がいてもいいと思うし、人はそれぞれ
なのだから選択肢を与えるべきだと思うのです。
私がテレビの報道を見ていてびっくりしたのは、
女性が職場で旧姓を「使える」企業がここ10年で
1割から6割り近くになったという内容のもの。
「えっ?! 使えるってことは、以前は職場で
旧姓を名乗る自由すら女性にはなかったの? !」
と、本当に驚いちゃいました。
海外暮らしが長く、サラリーマン時代は短く、
しかも外資にいた私はこの手のことに疎いと
つくづく実感…(苦笑)。
ちなみに姓が変わるということは、パスポートも、
運転免許証も、保険証も、銀行口座も、その他、
あらゆる公式書類の変更を強いられるということ。
その後、離婚になったらどうなるのでしょう?
また一からその作業を繰り返すことになる?
しかも女性だけが?
考えただけでも気が遠くなりますね。
それに職場で夫の名字を名乗っていた女性が
あるとき旧姓に戻ったら、その事実は公に知られ、
色々と勘ぐられる可能性もあるわけですよね。
それって人権に関わってくるのでは…?
実は私も夫婦同姓に関連する失敗談があります。
それは日本から来る撮影クルーの航空券を
イタリアで手配したときのこと。ずっと旧姓で
メールのやり取りをしていた女性編集者の名字を
本名だと信じ込んでいた私。
キャンセル不可の国内線のチケットを取った後、
実はパスポートネームが異なることを知り、
結局、その航空券はやむなく捨てることに…。
以来、女性クライアントに関する各種手配等が
発生する場合は、必ずパスポートネームを
確認するようにしています。
とは言え、遠回しに独身なのか、既婚者なのか、
旧姓を使っているのか、プライベートなことを
尋ねなければならないのは気を使うし、
あまりいい気分とは言えません。
ちなみにイタリアは夫婦別姓ですが、ひとつの書類を
変更するだけでも多大な時間を必要とするイタリアで
もしも同姓制度が採用されていたら…
なんてこと、考えるだけで身の毛がよだちます。
さらに3組に1組は離婚しているらしいし…(苦笑)。
段取りの悪いイタリアにおいて、仕事の合間をみながら
書類変更の手続きなんてやっていたら、おそらく完了する
までにざっと1年はかかるんじゃないかな…(苦笑)。
アッティコ・ローマ
村本幸枝