先月19日に日本からイタリアへ戻り、
早速、翌日から10泊に渡り撮影コーディネートで出張に
出ておりました。目的地はアマルフィ&ヴェネチア。
で、今さらながらですが、その違いに苦笑しました。
『そりゃあそうだわ』と思わずうなずいてしまったのは、
ムラノ島(ヴェネチア)での撮影中、モデルのお母さん、
シモネッタ (モデルは6歳の女の子)が言ったひとこと。
快晴に恵まれたその日。
早朝ムラノ島へ移動し人の往来が激しくなる前に撮影を開始
したものの、寒空のなか6歳の女の子をなだめつつポーズを
取らせての撮影はなかなか思うように進まず。
そうこうしている内に通り沿いの土産物屋は営業を開始。
店先の掃除やウインドウのガラス拭きが始まってしまい、
撮影を中断せざるを得なくなってしまいました。
『あと数分で終わるから、申し訳ないのですが少しだけ
掃除を待って頂けますか? すぐに終わりますから!』
そんな私とシモネッタのお願いに対して返ってきたのは、
『無理無理。こっちにはこっちの予定があるんだから。
さっさと掃除を済ませたいのよ』と、
ひじょ〜に冷ややかかつ、癇に障るものの言い方。
そりゃあ、そちらの言っていることは正しいですが、
数分待ったって何かが変わるわけではないし待てない
にしても言い方があるのではと、内心ムッとする私。
でもまぁ、ここでケンカをしても仕方がないし、
とりあえず掃除が終わるのを待つことに。
その間 (時々、目配せはしていたものの) カメラを含む
撮影機材や貴重品が入っているみんなのバッグは広場
のベンチに置きっぱなし。私が『これがナポリだったら
根こそぎなくなっているわね』と、シモネッタに話しか
けると『でも、ナポリなら店の掃除は中断してくれたと
思うわよ』と彼女。
『あの家の窓から撮りたい』カメラマンのリクエストに
応えるべく、通りで見知らぬ町の住人に聞き込みをする
私に対し、その家の主を親切に教えてくれたり、
さらには交渉にまでついて来てくれたりする南の人々。
職場のレストランまで押し掛けてお願いする見知らぬ私に
『いいよ』とふたつ返事で自宅に戻り、家のテラスから
撮影させてくれたアトラーニ(アマルフィ隣町)のおじさん。
『ご自宅の窓を30分お借りしたい。使用料も払います』
のお願いにほとんど交渉の余地も与えてくれなかった
ムラノ島のおじさん (そりゃそうですよね、見知らぬ
外国人が突然訪ねてきたわけですから…苦笑)
チェックインの際に渡したパスポートがすぐに戻ってくる
(その場で必要事項を登録して戻してくれる)、ネット接続
のためのUser IDとPWを尋ねる間もなくを発行してくれる、
欲しい情報は正確かつ敏速に調べてくれるヴェネチアのホテル。
フロントがいつも不在。パスポートがチェックイン数日後に
しかも催促した末にやっと戻ってきたアマルフィのホテル。
イブの夜は開いているレストランがほとんどないから、
事前に予約した方がいい、後で営業している店を調べて
教えるからと言ったまま姿を消したフロントのお兄ちゃん。
(結局、自分で調べて予約)
『愛すべきイタリア』であり『憎むべきイタリア』。
だからイタリアって面白い!
そして『愛すべき…』の量が『憎むべき…』に勝っている
間はまだイタリアとお付合いができるのだと思います。
アッティコ・ローマ
村本幸枝