先日、イタリアへ戻る直前に駆け込んだ美容院でも然り。
『もう20年以上もイタリアで暮らしているんです』。
そう話すと『イタリア語って難しいですよね?』と、
よく返されます。
でも、イタリア語は意外に日本の日常に浸透しているんです。
『プロント(準備完了)』や『ヴェローチェ(素早い)』などの
店名もそうだし、『パルコ』は英語の『パーク(公園)』。
ファミレスの『カーサ(家)』や『ガスト(味)』
(本当はGustoグストなんですが…)もイタリア語。
『ピアッツァ(広場)』『グローリア(繁栄)』など、
昔は車の名前にも多くのイタリア語が使われていました。
イタリア語は話す際のアクセントのコツさえ掴めば、
カタカナ語読みでもけっこう通じるし、日本人にとって
発音しやすく、耳に入りやすい言語なのだと思います。
同時に、イタリア語にも日本語にも存在する音で
まったく意味の違う言葉もいくつかあり、
そういう指摘を受けて、笑ったことも多々あります。
イタリア語を話している時は、頭がイタリア語ワールド
にシフトされているので、そういうことに気づかなく、
だからこそ、そういう指摘は私にとってかなり新鮮です。
以前、私の母がイタリアへ遊びに来たときのこと。
写真を撮る場所を探していた母が『ここで、ここで』
と指を指したらイタリア人の友人が急に笑い出し…。
『ココデ〜ココデ〜』はイタリアでは雌鳥の鳴き声。
その友人にとっては、母が街なかでいきなり雌鳥の
マネをはじめたかのごとく思えたわけです….(笑)。
逆にイタリアの友人が『クワ、クワ、クワ』と言えば、
母が『えっ?アヒル』と、怪訝そうな顔。
『クワ』はまさにイタリア語で『ここで』の意味(苦笑)。
イタリア人の会話を聞いていた元アッティコのスタッフ、
M嬢は、急に『死んだ子って何ですか?』と質問。
『シンダコ』はイタリア語で『市長』の意味ですが、
それを『死んだ子』と彼女が聞き取った、そのことに
私はかなり感心してしまいました (笑)。
きわめつけは、友人から聞いた話。
成田行きの飛行機に乗っていたイタリア人グループが
前方の席に座る仲間に『ジージー』と呼びかけたそう。
『ジージー』は『ルイジ』の愛称なのですが、
彼らの間に座っていた年配の日本人男性が思わず、
振り向いてしまったとか。
友人曰く、
『ジージー』を『じじい』と間違えちゃったのかな?
悲しくもあり可笑しくもあるエピソードですね…。
アッティコ 村本幸枝