W杯、明暗をわけた1日

昨日は日本とイタリアにとって明暗を分けた対照的な1日と
なりましたねぇ。そう、W杯のことです。

イタリア VS スロバキアのキックオフはイタリア時間16:00。
ちょうどその時間帯は、現在進行中の雑誌の撮影を終え、
いったんホテルへ戻る途中だったところ。

キックオフちょっと前から、ナボーナ広場近くのマンション
ではTVの大音量とともに窓から若者たちの雄叫びが聞こえ、
TVを設置している広場や試合を流している店の中では、
準備万端とビール片手にサポーターたちが画面の前で釘付け。

私たちが乗車したタクシーの車内はもちろん、通りを走るどの車も
どのスクーターも、そして、歩行者もがラジオの中継に一喜一憂。

なんでそんなことが分かるかと言えばですね、
惜しい場面でのみんなのリアクションがまったく同じだから(笑)。

みんなが示し合わせたように『うー、残念!』という片手を上げる
仕草をするわけです。タクシーに同乗していた編集者とカメラマンは
イタリア語が分からなくても『今、ゴールが入りそうだったんだ』と、
簡単に状況を把握できるわけです(笑)。

いつも人と車で溢れかえっているローマの街なかは、
ゴーストタウンはちとオーバーですが、けっこうそれに近い状態。
私たちは渋滞に巻き込まれることなく、とてもスムースにナボーナ
広場からヴェネト通りのホテルに戻ったのでした。
(いつもこうだといいのに…)

私はホテルに預けた荷物をピックアップし、試合終了後のカオスが
巻き起こる前に自宅へ戻ろうと、フロントで荷物の半券を渡したので
ですが、肝心のポーターが行方不明。
(5ツ星ホテルですよ、5・ツ・星!)

フロントが内線で呼んでも、トランシーバーで探しても応答なし。
待つこと15分。焦るフロントのお姉さん。
『荷物が置いてある場所を教えてくれれば自分でやります』と私。
『そういうわけには…』と、困り顔のお姉さん。

そこでピンと来た私が『あっ、きっとどこかで試合を見てるんだ』
とひとこと。
『そんなわけはないです。そんなことがあってはならないし』と、
言うものの、そうかも…と説得力なさそうな不安顔 (苦笑)。

でも、試合中の、しかも残り時間あと20分というそんな大事な時に
荷物を出してとお願いする私も私だから仕方ないわ、と思う私自身、
かなりイタリア人化しているなぁと、自覚した瞬間でもありました(苦笑)。

しぶしぶ現れたポーターに、
『あんた、試合見てたんしょう?』とはもちろん突っ込みませんでした。
そこはイタリア的暗黙のマナーですから?!(苦笑)

結局、イタリアは歴史的記録になるほどのみじめな惨敗。
自宅までの帰路もおかげさまで静かなものでした。

試合終了後、リッピ監督は『すべては自分の責任』とコメント。
前回のW杯ではイタリアを優勝に導き、今年は1勝すらできずと
いうイタリアサッカー界ワースト記録に刻まれる惨敗。
まさに『雲 (Stelle)』 と『泥 (Stalle) 』の両方を経験した監督、
ということになりますね。

それにしてもイタリアが負けてしまったから、勝利の度に徐々に
絶頂を迎える、あの街の異常な盛り上がりが見られなくなるのは
とても残念です。

アッティコ・ローマ
村本幸枝

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